特別受益と寄与分
遺産分割において、争いとなるケースに、特別受益と寄与分というものがあります。
それぞれ見ていきましょう。
特別受益とは
相続人の中に、被相続人から特別の利益を受けていた者がいる場合、法定相続分に従って分けてしまうと、相続人間で不公平が生じてしまいます。
例えば、故人の生前であればたとえ何年前であっても、相続人のうち一人だけが、故人から住宅資金や開業資金などをもらった場合には、特別受益者にあたります。
これらの贈与は、相続財産を生前にあらかじめ渡したものとして扱われ、調整されるべきであると判断されます。
寄与分とは
相続人の間で財産を公平に分けるために定められている制度です。
親の家業に従事して親の財産を増やした、寝たきり状態の親を自宅で介護をして親の財産の減少を防いだなど、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしたと評価できる場合には、民法の規定により、「寄与分」を受け取ることができます。
ただし、寄与分を主張できるのは相続人に限られ、内縁の妻や事実上の養子などは、いくら身の回りの世話をしたり、貢献していたとしても、自ら寄与分を主張することはできません。